『雨無村役場産業課兼観光係』特別面白いわけじゃない、けどすごく好きな漫画


雨無村役場産業課兼観光係
岩本ナオ 作

少女漫画っぽくないタイトルに惹かれてブックオフでパラパラ試し読みしたのが雨無村との出会い。

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オススメしたい、したいんだけど

タイトルで書いた通り、「うわーこりゃ面白い!!!」って話ではないんです。
万人受けするかというと、読む人選ぶと思います。
淡々と過ぎゆく田舎の情景を、読者も淡々と読んでいく。
いや一応イベントやら恋愛やら絡んでるんですけどね、読後感は淡々。

じゃあイイ話なのかっていうと、これも手放しで「いい話なんだよ~!」とは言い難い。
いえ、いい話なんですよ?田舎に戻った若者が町を盛り上げるため試行錯誤して成長して。
でもお涙頂戴だとか、感動的なシーンとか、クライマックスとか、そういう要素も低め。
ただ淡々と流れていく、当たり前のように自然に。

特別面白いわけじゃなく、特別いいお話ってわけでもなく、

でもすごく好き。

すごく、”大事にしたい”と感じるような本。

それと自分が田舎者だからっていうのもあるんですけど、田舎あるあるに共感しきり。
漂うノスタルジー。
α波が出まくりそうな世界なんで、つまらないと感じる人もいるかもしれないし、自分と同じく好きっていう人もいるだろうなっていう。
ロードムービーが好きだったり、退屈に感じない人には推せるんじゃないかと思う。
あと、とりあえず、岡山出身東京在住者には勧めてみた。<白十字のワッフルとかヌートリアとか岡山弁とか出てくるし

ちなみに他作品では受賞してるんだけど

さんざん万人受けは難しいんじゃないかとグダグダ書きつつも、岩本ナオさん作品は『町でうわさの天狗の子』で小学館漫画賞受賞してたり、『金の国 水の国』で[このマンガがすごい!2017オンナ編]1位、[マンガ大賞2017]2位受賞、『マロニエ王国の七人の騎士』も[このマンガがすごい!2018オンナ編]1位と、予想以上に評価されてる。
(自分が『雨無村』読んだのはずっと前なんで受賞するまで世間評価知らなかった…)

他作品はファンタジーだけど雰囲気なんかは共通してるので素直に嬉しい。
正直言って絵が上手いかどうかというと微妙なんだけど、話に相まって味があるとも取れるし、作品全体から言えば些細なことに感じる。
という個人的観点が、他人にとっても通じるところが嬉しい。

ネタばれ含む感想など

主人公・銀ちゃんは平凡だけどいい奴。←よくある設定ですよね
ヒロイン・メグはポッチャリで辛口ぶった切り。←この時点でちょっと異色?
男友達(後輩)・スミオは美形のぼんぼん。←これも割とある設定かな
で、メグ→スミオ→銀ちゃん→メグ の三角関係。←…お、おう。

BLは好き嫌い分かれる気はするんだけど、というか自分が苦手感あるんだけど。
この作品に限って言えば、拒否感も起こらない。
たぶん本当に自然だから、なんだと思う。
スミオが銀ちゃんに惹かれるのも、銀ちゃんがメグに惹かれるのも、メグがスミオに惹かれるのも「そうだよなー、これならそういう感情芽生えるよなー」ってのがストンと入ってくる。

というベースがありながらも、「恋愛漫画」ってカテゴリーに自分の中ではならないのが、”恋愛関係<人間関係” の重みかなと。
ヒューマンドラマ…になるんだろうか。
役場の人たちや村の人たちのダメなところ尊敬するところもちゃんと描いてて、正に「人間いい面も悪い面もある」っていうね。
でも道徳的じゃないし、ダメ部分はメグがバッサリいきますし( ´艸`)

好きなシーン

「みんなここにはなんにもないとか言うけど なんにもないわけないじゃないか」
田舎は人も物も少ない。自然があるって言ったって、そこに在るだけで相手してくれるものじゃない。
でもゼロじゃない、少ないなりのコミュニティがあり、人生があり、想いがある。
やっぱり感動的シーンというより普通の1コマなんだけど、何かこみ上げてくるんだよね。

ホントそう、多分そう

「ここじゃ16でデキ婚で高校中退のウチの弟みたいなののほうが喜ばれるぐらいだし」
うちは雨無村ほど過疎化してないけど、このセリフは田舎町の情景として実感できる。
若い人が他所に出て行ってしまう地域なら尚更。

ルマンドはたまに食べたくなるよね

「将来の夢はなんですか」「……今すぐこの世から消えることです……」
面白いこと言えないスミオのナイス発言!
ここだけ切り取ると意味わからないけど、こういう会話を頭の中で構成できる作者さんてすごい。
岩本ナオさんの狙ってなさそうな会話センス好き。

個人的なオススメ作品

『雨無村』が好きな人ならイケるんじゃないかな?というセレクション。
だいぶ前の作品でごめん。

『So What?』
わかつきめぐみ 作

こちらも独特な世界と雰囲気と、非日常な日常。
天涯孤独になった少女(一応)と異次元から来た女の子達との共同生活、左遷産業スパイ集団や周りの人とのやり取り。
余白の美。優しい世界。
でも登場人物ほとんど変人。そこも好き。

映画『ストレイト・ストーリー』
デヴィッド・リンチ 監督

おじいちゃんが時速8kmの芝刈り機で、350マイル(約560km)離れた兄に会いに行く物語。
設定自体に「えぇっ?」と思ったら実話を基にしてるってところで「ええぇえっ?」となる。
で、奇才デヴィッド・リンチ監督。
淡々と進んでいく物語やエピソードの積み重ねが『雨無村』と自分の中でリンクする。

個人の主観なので『雨無村』は合うけど上記オススメは何か違う、受け付けない、って人もいるだろうけどそれはそれで。

岩本ナオさん作品は、ここに辿り着いた人なら読んでる可能性高いですが『Yesterday, Yes a day』ももれなく好き。

『町でうわさの天狗の子』は雨無村とは違う方向性の、違う魅力がある(個人主観)。

『マロニエ王国と七人の騎士』は未読なので読んでみようと思います。

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